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2021/02/07 12:13
大分県別府市のセレクトショップ『SELECT BEPPU』です。
今回は竹皿や竹カゴ、そして素材にこだわった“竹箸”などをつくる
別府市の『けはれ竹工房』に取材に伺いました。
出迎えてくれたのは代表の林さんと竹職人の白髭さんです。
(工房内にて道具の説明をしてくださる林さん(手前)と白髭さん(奥))
ご自宅で畑をされていたり、自然と人にやさしい素材を選ぶなど
話をお伺いする前から、自然に寄り添う姿勢を強く感じていました。
今回、お話を伺うと、竹工芸の道に進んだきっかけも、環境問題への配慮からだと言います。
(畑で栽培したヘチマのたわしも商品化している)
代表の林さんは、元々は美大のご出身。
当初は油絵の専攻でしたが2年程で現代美術の世界で作品を作っていくことに切り替えたそう。
卒業後は名古屋で3年間自然食の問屋でサラリーマンとして働きながら、作品発表を続けていたそうです。
竹に出会ったのはその時期。
自然食の仕事をしながら、現代美術で作品発表をするという異なる2つを行うことに違和感を感じ、
日々の生活と表現活動が一体化する方法を模索していたそう。
ものづくりの世界ならそれが実現できると感じ、工芸に興味が湧いた林さん。
近くで調達できる材料でモノをつくれたら理想的だと思い、竹工芸の道に進んだそうです。
(独創的な形が目を引く花かごと一輪挿し)
林さんは、自然への興味が湧いたきっかけをこう語ります。
「油絵をやめたのは、素材研究という授業の中で、顔料に重金属が使われているということを知ったのがきっかけなんです。
重金属による公害が小学生の時に起こっていて、カドミウムや鉛、水銀などには毒性があるのにすごくキレイな絵の具になっている。そう思うと使えなくなってしまったんですね。
自然農法というのを提唱した福岡正信さんという方の本にも影響を受けました。」
当店のけはれ竹工房の人気商品でもある『自然塗料箸』を始めたきっかけについても伺ってみました。
(幼児玩具にも使われるドイツ製自然由来の塗料を用いた『自然塗料箸』)
「お店で竹のお箸が売っていますよね。天然の素材のものとうたって販売していて、お客さんもナチュラルで素敵と思って買っていく。だけど僕の目から見るとそれはプラスチックのお箸なんですよ。」と林さん。
竹箸がプラスチックのお箸?どういうことでしょうか?
「表面には合成樹脂が塗ってあるものもあります。けれどいかにも自然そのものという風に売ってある。
それが嫌で漆のお箸を作って売っているけど、合成樹脂塗料を塗っている方が自然に見えるという方がいらっしゃいます。
そういう疑問を抱えていたところ、建築雑誌で「自然塗料」という言葉を見つけたんです。」
当時はドイツから自然塗料が入ってきて販売が始まった頃で、そこから自然塗料箸が生まれたのだそうです。
林さんは私たちに数カ月前から制作を再開したという『漆箸』も見せてくれました。
「これは『輪島地の粉』っていうのを使っているんですけど、
素材としては珪藻土 (けいそうど) と言われているものです。
強度を増すためにベースに塗って最終的に見えなくするのが本来の使い方なんですけど、
それを表面に使っていて、箸のすべり止め効果とデザインの面白さを狙っています。
漆は本来は茶色なんですけど、珪藻土の中に鉄分が含まれていて化学反応で黒くなるんです。」
(でこぼこした凹凸が珪藻土。手触りも心地よい。)
最後に竹箸を作る際にこだわっていることについてもご質問してみました。
「丁寧になるべくいいものを作りたいという気持ちしかないです。
だけどいつも満足できるほどいいものはできない。
だからこそいつも“よりよく”と思って作っています。」
(工房前にて、代表の林さん)
素材にこだわり、謙虚な姿勢で“よりよい”ものづくりを追い続ける『けはれ竹工房』
丁寧なものづくりから、私たちの暮らし、そして自然環境はつながっていることを教えて頂いたように思います。
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