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2021/03/13 13:21

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先日、当店でも人気の高い『臼杵焼』の工房見学に行ってきました。


国宝の臼杵石仏にほど近い場所にある工房は、以前は郵便局だったそう。
光が降り注ぎ、気持ちの良い風が通り抜けている内部は、とても穏やかに時間が流れているように感じました。


『臼杵焼』は約200年前に10年ほど栄えたのち衰退し、途絶えてしまったという幻の器。
大阪で陶芸の技術を学び、家業を継ぐために地元の臼杵市に戻ってこられた宇佐美さんと、
大分市出身の陶芸家薬師寺さんの手によって、2015年に「現代版臼杵焼」として復活しました。

地元に昔あったものを活かして、後世に残る産品を作りたい」という想いもあり
臼杵焼を復活させる事を決めたという宇佐美さん。

十数年しか栄えなかったため、資料となるものはほとんど残っていなかったけれど、
数少ない資料の中で、「白磁輪花小鉢」という小さな花の形をした小鉢を博物館で見た時
「これは今の時代の人の生活に受け入れてもらいやすいのではないか」と思ったそう。

宇佐美さんのおっしゃる通り、白磁で可憐な花びらのモチーフの形はどんな料理にも合わせやすく
素材の色を引き立てる役割をしてくれます。

昔からあった器の形状は、菊の花をモチーフにした「輪花」と呼ばれる形。


そして、洋風の食事が多くなった現代の人の生活により一層馴染みやすいという思いで
宇佐美さんによって生み出されものが、蓮の花をイメージした「稜花」と呼ばれる形。



可憐で可愛らしい雰囲気の「輪花皿」と
上品で洗練された雰囲気の「稜花皿」。
どちらも1枚あるだけで食卓をパッと華やげてくれます。


器を制作する際に、大事にしている事を伺うと
「今の臼杵の雰囲気は一言でいうとシンプル質素倹約が息づいていている
そういう臼杵の雰囲気に合う器づくりをしていきたい。」と、宇佐美さん。

華美ではない中に楚々とした美しさのある宇佐美さんの作られる『臼杵焼』の器は
今の臼杵そのもののように思えました。

(写真:夏になると満開になる、臼杵石仏の周辺に咲く蓮の花。)


現在『臼杵焼』と言えばマットな質感が印象深いですが、今後は光沢のあるものも制作していきたいそう。
「いまだに手探りで、全部が試作品のようなものですよ」
そう笑いながら宇佐美さんは話してくれました。

次々に新しい形の器を生み出す『臼杵焼』に、
毎回、「こんな形もあったんだ!」と、驚きとトキメキを与えてもらっている気がします。


また、工房がある臼杵市は「ほんまもん野菜(農産物)」と呼ばれる臼杵市認証の有機野菜が栽培されており、
魅力的な食材が豊富にあります。
「地元のものを引き立たせる器づくりをしたい」と
臼杵のいいものを多くの人に知ってもらい、臼杵焼を見て臼杵を訪れてもらいたいという想いを語ってくれました。

(写真:蓮の咲く時期に提供される、地元の有機野菜を使用した料理。)

常にアンテナを張り情報をキャッチしながら、
豊かな発想力とアイデアを実現させる行動力をお持ちの宇佐美さん。
新しい事にも積極的にチャレンジしている姿が印象的でした。

将来的には食器だけではなく、ランプシェードなどの家具にも挑戦し、海外展開をしていきたいとのこと。
また新しい驚きとトキメキに出会える日が楽しみです。

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