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2020/10/02 15:08
いつもSELECT BEPPUのブログをご覧いただきありがとうございます。
先日、大分県の国東半島で活動されている陶芸家「くにさきかたち工房」の垣野さんの工房にお邪魔しました。
当店でもお取り扱いをさせていただいている垣野さんの「キナリシリーズ」の器は
大分市、別府市内のカフェやレストランで使用されているところも多く、
お客様から「○○で食事した時、この器でした!」と教えていただく場面が度々あります。
「ずっと半農半陶の生活をしたかった」という垣野さんは
千葉県のご出身で東北の震災を機に国東半島へ移住されたそうです。
もともと新興住宅地ーベットタウンの外れで育ち、比較的自然が身近にある生活には慣れていたそうですが
「自然の豊かさ、近さが全然違う」と、国東半島の印象を教えてくださいました。
今ではご家庭の食卓に並ぶ野菜やお米は、自ら田畑を耕し、育て収穫するという土に根付いた生活をされているそう。
(写真:実際に垣野さんが手がけている田んぼ)
「雑音のない国東半島の自然の中で、自分が気持ちよいと感じたものを作品に投影している感じ。
自分は頭で考えてもダメだ。日々田圃をやりながら、暮らした中で感じたものを出すことしかできないと思った。」と、
作陶される時に感じている事を教えてくださいました。
そのお話を聞いて、垣野さんの器が土のぬくもりを感じる素朴な風合いがあり、
さりげなく生活に馴染む理由がわかった気がしました。
「自分の器を通して自然を感じてほしい」と、垣野さん。
「自分の器を見て何かを感じ、それをきっかけに国東半島に来て、また何かを感じてくれたらいいなと思っている。
都会の人に器を通して自然と繋がってもらいたい。」
そういう想いもあり、数年前には国東半島に訪れた人と一緒に
土を採取するところから器を作り上げるワークショップを行ったことがあるそう。
釉薬に薪ストーブの灰を使用したり、シーグラスを使用したり、身近なものを素材に使用されている垣野さんですが
最近では、国東半島の山から採取した土を使用した作品作りにも挑戦されているそうです。
(まるで山の石をくり抜いて出来たような花器:写真中央)
今後挑戦していきたい事を伺うと「身近なもの、自然のものを使って薪窯で作品作りをしてきたいですね。」とのこと。
現在のガス窯と薪窯では、どのような違いがあるのかがイメージできていない私に
垣野さんが全く色の違う2つの作品を見せてくださいました。
(写真:左→ガス窯で焼いたもの、右→薪窯で焼いたもの)
驚くことに、2つの作品は同じキナリシリーズのもの。
どの窯で焼くかで、出来上がりは全く違うものになるのだそう。
「薪窯では火の影響が大きく、何が出来るかわからない。
木と灰が舞ってそれが溶け、自然の要素が出てくる。」と教えてくださいました。
「ものづくりはなるべく自分の手から放して、素材にゆだねたい。
ゆだねて出てきたもので良いんじゃないかと思っている。」
垣野さんの器は、国東半島の大自然の中で、ゆったりと、かつ丁寧に作られているからこそ
あわただしい日常の中に小さな幸せを感じる、心ゆたかな時間を演出してくれる気がします。
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